集中豪雨や台風などで荒川が氾濫し決壊したら、どのあたりがどのくらい浸水するのだろう?国や県のハザードマップを見ると、埼玉県南部の川口市・戸田市・蕨市付近は広範囲にわたり浸水すると予想されています。
浸水が予想される範囲や規模や、どこに避難すればいいのか、また避難指示が出たときの適切な行動などを調べてみました。
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荒川氾濫で川口市の半分は水につかる
まずは国土交通省関東地方整備局の発表をご覧ください。(荒川上流河川事務所 H30.9.21作成PDFより)
川口市を中心に拡大します。
東京は荒川沿いの墨田区・台東区・葛飾区・足立区が広域に被害が出ると予想されています。
埼玉は、東京に隣接している県南部の川口市・戸田市・蕨市の浸水面積が広いですね。
川口市が発行している防災本にも、浸水予想区域が出ています。
川口市の南部のほとんどがピンク色。3〜5mの深さまで水につかることが予想されています。
どのくらいの高さかというと・・・・
(図出典:川口市防災本より)
3mであれば建物の1階部分、5mであれば2階も水没する深さです。
水が引くまでに何日かかる?
川口市が発行している防災本で公表されている、浸水した場合の水が引く時間です。
川口市の南部は、約1週間水が引かないということに驚きます。
安全な場所に避難できても、1週間は戻ってこれないし、戻っても生活できる状態ではないでしょうね・・・
これは震災と同じように対策をしておく必要があります。
河川氾濫、避難のタイミングはいつ?
(荒川土手)
川からの距離や高低差によって「決壊から何分で水がくる」と一概には言えませんが、川の増水で逃げ遅れるなどのニュースで聞くのが「あっという間だった」「避難指示が間に合わなかった」という話。
水かさが増す勢いは予想外に早く、危険を感じたら、または自治体からの発表が出たら即行動です。
自治体発表の種類と行動目安
以下、洪水のときの注意点に関する情報を、日本気象協会のサイトより引用します。(太字・赤字強調は筆者による)
堤防が決壊した時は、浸水深及び浸水区域が一気に増加するため、氾濫した水が集まる低地などの地域では、特に速やかな避難行動が必要です。
いったん堤防が決壊すると、一気に水かさが増し避難が困難になるため、雨の状況に注意しながら、大雨が降るようであれば早めに避難しましょう。
避難時の注意点 |
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【想定浸水深】0.5m未満 |
・地上が浸水すると地下に一気に水が流れ込んできて地下からの脱出は困難となる。
・車での避難が危険な場合がある。 ・浸水の深さがひざ上になると徒歩による避難は危険。 ・避難が遅れた場合は、自宅等の上層階へ移動する。 ・マンション等の高い建物に居住している場合は、無理に避難する必要はない。ただし、浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について認識しておくことが必要である。
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【想定浸水深】0.5~3.0m |
・1階の住民は、床上浸水になり、避難が遅れると危険な状況に陥るため、避難情報のみならず、河川の水位情報等にも注意し、必ず避難所等の安全な場所に避難する。
・水・食べ物・貴重品などを2階以上に持って上がる。 ・浸水が始まってからの避難は非常に危険なため、近くの丈夫な建物の2階以上に移動する。 ・マンション等の高い建物に居住している場合は、無理に避難する必要はない。ただし、浸水が長時間継続した場合や孤立した場合の問題点について認識しておくことが必要である。
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【想定浸水深】3.0m以上 |
・ 2階床面が浸水するため、2階建て住宅及び2階の住民は、避難が遅れると危険な状況に陥るため、避難情報のみならず、河川の水位情報等にも注意し、必ず避難所等の安全な場所に避難する。
・ 高い建物の住民でも、浸水深が深く、水が引くのに時間を要することが想定されるため、事前に避難所等の安全な場所に避難する。
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実際の大型台風(2019/10/12)の記録をこちらにまとめました。
日本気象協会[トクする!防災] 避難の心得 水害・河川氾濫編もあわせてご参照ください。
身近な避難所の確認方法
Yahoo防災速報
このアプリひとつで災害状況・警報・避難場所が全部把握できるので、台風避難時に重宝しました。
(すでにインストールされている方も多いと思いますが)
警報や避難情報を下の方までみていくと「避難場所を確認する」ボタンがあります。
すると最寄りの避難場所が地図で現れます。
注意しなければならないのは、災害の種類によって開設される避難所が違うことです。
また、ここで表示されていても開設されているかどうかは状況によりますので、市からの情報をよく確認するか事前に問い合わせをすることをお勧めします。
川口市ハザードマップ
現在の自分の位置から、避難先がどのくらい先にあるのか、また方向などを画面で示してくれます。
避難先は、地震か洪水かで変わってくるのですが、災害種別にも対応していて大変便利。
あらかじめダウンロードしておくと便利です。(ダウンロード料金は無料。別途通信料がかかります。)
こちらからダウンロード先へジャンプできます。
うまく飛べない場合は、アプリ画面で
川口市ハザードマップ
と検索してください。
私もダウンロードしました。
自分のGPS設定をONにしておくと、その場所から避難先までの経路を示してくれます。
右の図は浸水したときのイメージ図。(いや怖いですよ、これ汗)
平常時にあれこれさわってみて、ある程度みておくと良いイメージトレーニングになると思います。
あとは災害時に携帯通信インフラが生きていることを願います。
今現在の危険度を知るためには
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/inund.html
1時間先までの表面雨量指数の予測値が大雨警報(浸水害)等の基準値に到達したかどうかで、危険度を5段階に判定し、色分け表示しています。
「非常に危険」警戒レベル4の段階では「道路が一面冠水し、側溝やマンホールの場所が分からなくなるおそれがある」という状態。移動が困難で大変危険です。
移動するなら、警戒レベル3(赤色)でギリギリのタイミングだと思います。しかしこの時点で、「道路がいつ冠水してもおかしくない」状態。時間の経過とともに警戒度が上がる可能性もあるので、高齢者・小さなお子様のいるご家庭・体の不自由な方はお早めにご準備を。
色が持つ意味 | 住民等の行動の例 |
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紫(極めて危険) | 表面雨量指数の実況値が過去の重大な浸水害発生時に匹敵する値にすでに到達。重大な浸水害がすでに発生しているおそれが高い極めて危険な状況。 |
ピンク(非常に危険) | 周囲の状況を確認し、各自の判断で、屋内の浸水が及ばない階に移動する。 |
赤(警戒) | 安全確保行動をとる準備が整い次第、早めの行動をとる。 高齢者等は速やかに安全確保行動をとる。 |
黄(注意) | 今後の情報や周囲の状況、雨の降り方に注意。 ただし、各自の判断で、住宅の地下室からは地上に移動し、道路のアンダーパスには近づかないようにする。 |
(気象庁サイトより引用)
https://www.river.go.jp/portal/#80
全国の現在の水位がわかります。(危機管理型水位計の数値)
荒川氾濫の歴史
荒川は埼玉〜東京を流れる173kmの河川です。その名前のとおり「荒ぶる川」となり、過去なんども洪水による氾濫を繰り返してきた川です。
記録に残っている洪水・浸水の歴史
寛保2年(1742年) | 荒川、利根川が氾濫し、関東一円が浸水 |
安政6年(1859年) | 荒川筋の各所で堤が切れ、また、市ノ川筋、入間川筋も破堤 |
明治43年(1910年) | 明治以降荒川最大の出水 利根川の洪水と合わせて埼玉県内の平野部全域を浸水させ、 東京下町にも甚大な被害 |
昭和22年(1947年) | 熊谷市久下地先において100mにわたり堤防が決壊 埼玉県内の全壊・流失家屋は1,121戸、床上浸水家屋は44,855戸 |
昭和49年(1974年) | 当事務所管内では護岸や堤防法面の破損など40ヶ所が被災 |
昭和57年(1982年) | 新河岸川では被害総額211億円にも及ぶ甚大な被害 |
平成11年(1999年) | 熊谷水位観測所、治水橋水位観測所では 観測開始以来、過去最高となる水位を観測 |
平成19年(2007年) | 三峰雨量観測所にて総雨量573mmを記録 熊谷水位観測所では観測開始以来の最高水位を記録 |
(出典:国土交通省 関東地方整備局 荒川上流河川事務所「荒川の歴史」より)
現在は、昔と違って堤防以外の対策もなされているので(荒川放水路)、豪雨のときの被害は格段に抑えられていますが、最近の気象は「想定外」「今までに体験したことのない」という表現で報じられることも多く、対策が追いつかないことも十分ありえます。
荒川対象:荒川放水路
中川・倉松川・大落古利根川対象:首都圏外郭放水路(春日部)
私は西川口に20年以上住んでおりますが、今までに洪水や浸水を経験したことはありません。
しかしいつも気になっていました。電柱に記されている、「想定浸水深」。
表示内容:浸水深3m「72時間の総雨量を632mmと想定する最大規模の降雨により荒川が氾濫した場合、上記の深さまで浸水するおそれがあります。」
これが現実なのか、そうなった場合はどうすればいいのか。ことが起こる前に対策をシミュレーションおけば、いざというときに慌てずに対処できると思います。
ご参考になれば幸いです。