西川口に中国人急増中。調べてわかった中国化している6つの理由

ここ数年で川口市、特に西川口に中国出身の住民が異常に増加しています。

中国化が世間に知れ渡り、最近ではついにリトルチャイナと呼ばれるようにまで変貌しました。

でもこの中国化は、ほんの数年の出来事です。横浜中華街のような歴史ある歩みでできあがった土地柄ではないんですよね。

 

 

西川口は、昔も多くの外国人が住む街ではありましたが、以前はフィリピン、タイ、韓国、インド、ネパール、パキスタン、ブラジル・・・と、多国籍でした。

 

ところが、2010年以降は圧倒的に中国の人ばかりが目立つように。
中国語オンリーの看板を掲げたお店が並び、店員もお客さんもみんな中国人。
街を歩いていてもショッピングモールもスーパー銭湯も、日本語よりも中国語の方が多く聞こえてくるという・・・

 

 

私は1998年から20年以上西川口に住んでいますが、本当に乗っ取られるんじゃないかと危機感を覚えるほど。私のように地元の多くの日本人は、この中国化の勢いに圧倒されているのですが、この現象にはっきりとした理由を説明できる人はほとんどいないんですよね。

 

というわけで調べてみました。

すると、理由はひとつではなく、さまざまな要因が重なって起きている現象だということがわかりました。

 

 

川口市外国人増加の実態は?

川口市の人口は年々増加していますが、外国人(中国人)の増加の要因が大きいそうです。

1999年ごろは川口市在住外国人人口は1万人に満たない人数だったのが、2019年には3万5000人越え。

20年で3倍以上増えています。

 

出典:川口市「かわぐちの人口第1表人口と世帯」より

 

統計によると、いろいろと驚くべき実態が見えてきます。
たとえば出生数。川口で生まれる赤ちゃんの数。

 

平成30年(2018年)に川口市に届けられた出産の数は4405人。
そのうち外国人は428人。

 

約10人に1人が外国人ということになります。

 

地域によっても偏りがあり、川口〜西川口〜蕨に集中。
西川口のある小学校では、3分の1が中国の子というクラスもあるらしく、検診に訪問する小児科の医師が言葉の問題で苦労しているという噂も。

(出典:週刊東洋経済2018年2月3日号より)

 

 

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中国と日本の関わり方の変化

 

川口市になぜここまで多くの中国移民が集まったのか?

その原因となっている出来事(直接・間接)を年代順に並べてみます。

これを見ると、その理由が浮かび上がってきます。

 

年代で見る中国と日本の動き

1978年

鄧小平による「改革・開放」政策始まる。
「2000年までにGDPを1980年の4倍に」を目標として掲げた。
ここからGDPの平均成長率を10%近い高い水準で推移していく。(実際に目標は達成)

GDP推移
主要国名目GDP(2019年時点の上位10か国(米ドルベース)、IMF予想含む、兆米ドル)

出典:ガベージニュースより

1990年代

留学生・就学生が芝園団地に数多く集まる
(留学生は卒業後は日本のIT系企業へ就職するか母国へ帰国)

2004年

東京都の石原慎太郎都知事による新宿歌舞伎町浄化作戦

2005年

風俗営業に関する大幅改正決定

2006年5月

改正風営法施行。

多くの違法風俗店が摘発され撤退。
西川口の大量の空き店舗に中国人経営者が契約、飲食店開業

2007年

中国経済が世界でも上位に躍り出る。
日本の貿易相手国(輸出入の総額)は、2007年にアメリカを抜いて中国が一位に。

出典:財務省貿易統計

 

2008年

中国「北京オリンピック」で本格的に資本主義化。
どんどん豊かになる。でも成長率はそれまでの勢いを失い、6%台に。失業率も4%を超えた。
そこで中国は不況対策として大幅な金融緩和を始めた。
金利を下げて市中にジャブジャブお金が流れることになり、中国国内では不動産価値が高騰。
中国経済バブル化。一般の人も株や不動産や金融商品で投資をするようになる。

 

 

理由1:芝園団地

芝園団地とは、JR蕨駅(西川口の隣)から徒歩圏内の大型UR賃貸物件。
団地の一部を大手IT企業が社宅として借上げているらしく、もともと多くの技術系の外国人が住んでいました。

 

1990年代ごろまで、外国人は入居を断られるケースが多く、外国人の部屋探しは大変でした。
そんな中、日本住宅公団(現在のUR都市機構)の芝園団地は中長期の在留資格があれば簡単に借りられらたため、外国人が自然と集まるようになったようです。

 

画像出典:朝日新聞GLOBE+
芝園団地に住んでいます 記者が住民として見た、「静かな分断」と共生

 

芝園団地に最初からいる中国の人は、技術者・研究者・学生なので、頭脳優秀なインテリ層か、私費で留学できるかなりのセレブ層。

これは私の推測ですが、この層と最近急増している中国人たちはちょっと違うので、もしかすると「いっしょくたに見ないでくれ」というプライドがあるかもしれませんね。

 

理由2:中国の経済成長(中国バブル)

年代順にみると、2007〜2010年頃にぐんぐん国が豊かになっているのがわかります。
ちょうどこの頃、上海の大気汚染も報じられるようになりましたよね。

国の「改革・開放」方針が見事に当たり、目標通り豊かになった中国。
ジャブジャブ金融政策で普通の国民も投資に走るあたりは、かつての日本のバブル期と同じ・・・

 

バブル期を過ごした方はわかる思いますが、あの頃の日本って世の中全体ちょっと感覚おかしかったんですよね。

拝金主義で、お金を持っていれば何やってもいい、みたいな。
ニューヨークのビルを買ったりハワイやオーストラリアの土地を買ったり、すごい勢いでした。

 

今の中国人も、当時の日本人と同じような感覚なのかもしれません。(爆買いの様子見てると日本人よりもっとスゴイ気がする)

 

理由3:空きテナント続出

2006年ごろ、風営法で風俗店が一掃された西川口。

早々に契約者を決めたい不動産オーナーとしては、借り手・買い手を選んでいる場合ではありません。
そこに中国人経営者が続々と入り、飲食店をオープンさせていきました。

 

風俗街として悪いイメージのつきまとう西川口はもともと家賃が周辺より低めですが、その「イメージ」も外国人の人から見たら大きな問題ではなく、首都圏から近い上に低価格な西川口は最高の立地だったというわけです。

貸し手・借り手ともにWin-Win。空き店舗は次々と中国系のお店に変わっていきました。

 

理由4:SNS【微信(ウェイシン)】

微信(ウェイシン)とは、2011年から始まった中国語版LINEアプリです。(英語表記は「WeChat(ウィーチャット)」)
これが、移民中国人の生活をより便利にしているようです。

 

 

当初は日本で子育てする若い母親が情報交換に利用していたのですが、参加者が増えてきてさまざまな交流に使われるように。

 

日本語教室の参加者募集や夏祭りのやぐら撤去作業の手伝いボランティア参加の呼びかけにも利用されているそうです。

(参考:中国人の街・川口で広がる「日本人との距離」

 

ひと昔前だったら異国の地での生活は何かと不便でしたが、今は必要な情報が手軽に入手できる時代。
「川口=住みやすい」という評判はまたたく間に広がったものと思われます。

 

 

理由5:中国で日本の良さが報じられる

2017年、中国メディアの「捜孤」(SOHU=中国の三大ポータルサイトのひとつ)は、日本の社会保障制度が中国を圧倒的に上回ることを報じています。(もしかしたらそれより前にいくつもの報道があったかもしれませんが)

 

そこでは日本での出産・子育ての支援、医療、教育、障がい者へのインフラ整備などが紹介されており、「移住したい」と思わせる十分な魅力がありました。

 

たとえば、

 

  • 日本では出産すると一時金として42万円が支払われる上、児童手当もある。
  • 外国人であっても、国民健康保険に加入すれば医療費は一部負担。
  • 教育もすべての子どもに平等の権利があり、義務教育を受けられる。

 

 

いずれも中国では、相当なお金持ちでなければ受けられない厚遇です。
しかし、それが日本では誰でも享受できる・・・となれば、家族総出で移住しようと考えるのも不思議ではありません。

 

どんなに経済発展が進んだとしても、社会保障の面ではまだ追いついていないのが現状のようです。

 

 

理由6:マスコミで取り上げられて注目集まる

理由1〜5で基盤ができたところに、最大の起爆剤がこれ。

 

中国人コミュニティが定着して中国人の生活が便利になると、テレビやインターネットで西川口が「新しいチャイナタウン」として紹介されることが増えました。

2018年には放送が相次ぎ、日本人にもすっかり「リトルチャイナ」「チャイナタウン」として認知されるように。

 

2017年 ネット放送
AbemaTV『AbemaPrime』

https://abematimes.com/posts/2646464

 

 

2018年1月 TV放送
「タモリ倶楽部」

「月曜から夜ふかし」

画像出典:
そうだ埼玉.com http://soudasaitama.com/
東洋経済 https://toyokeizai.net/articles/-/233998

 

 

2018年 Abema TV
メシテロ「西川口リトルチャイナで中国一周食べ歩き」

 

 

もともと西川口に住んでいる者にしてみれば、「えっ?チャイナタウン??いつからそう呼ばれてるの!?」と、手放しに喜べない複雑な感情だったりするのですが・・・

 

まあとにかくメディアの宣伝効果はすさまじく、これで一気に移住者が増えたのは間違いないでしょう。

 

変わる中国人

年々増加する西川口の中国人は、今や中華料理店だけでなくスーパーやコンビニ店員などの働き手として、地域社会を支える存在になっています。

 

最近では中国の人たちによるボランティア活動も行われており、日本への親しみ・感謝を行動で表したいという人たちも増えています。この清掃活動もWeChatで徐々に広まったそうで、マナー改善への意識が高まっている中国人コミュニティの姿が報じられています。

 

西川口麻辣湯店主の駅前清掃活動、一周年を迎えて40人以上が清掃に参加
(ハーバービジネスオンラインより)

 

NHK『おはよう日本』で放送

 

いろんな中国の人がおり、習慣の違いやマナーに眉をひそめることも少なくありませんが、このように一生懸命貢献しようとしている人たちもいます。「中国人」とひとくくりにしてはいけないと思いつつ、このような中国人はまだ少数派で、あまり知られていません。

(私も今回記事作成にあたり情報を集めて初めてこの活動を知りました)

 

 

 

まとめ

このように、次々といくつもの理由が重なり、中国の人の街となっていった西川口。

街の様相が変わっていくのを長らく不思議な思いで見つめておりましたが、なぜだかはっきりした理由を実は地元民(自分も含めて)のほとんどの人がわかっておらず、なんとなくモヤモヤしておりましたが、調べてみてよくわかりました。

(この他にも要因はありそうですが、とりあえずネットから拾える情報をまとめると大きく6つでした。)

 

中国では急速な経済成長が進みましたが、不動産や株価が最近は頭打ち。
もしかしたら中国バブル経済もそろそろ崩壊かも、と予測する専門家も少なくありません。

 

安定と幸せを求めての移住。
昔と違って中流階級の人も、日本への渡航費・滞在費くらいは出せるようになったことで、誰もがその幸せを求めるようになったわけです。

その定住先として、すでに暮らしやすくなっている川口市周辺を選ぶ人が雪だるま式に増えていったのでしょう。

 

旅行客もすごく増えているし、日本は憧れの国、なんですね。
嫌われているのかと思ってましたが、国民目線では違うようです。

 

新たな土地に根付こうと努力する人たちがいる一方、かたくなに交わろうとしないまま快適さだけを享受している(ように見える)多くの中国人。今後、その多数派がどのように変わっていくかが、この街の将来を左右するのではないでしょうか。

 

川口市関連の記事一覧

 

 

<参考文献>

 

ダイヤモンド・オンライン
中国はなぜ日本を超える経済大国になったのか?3分で読む教養としての中国現代史

東洋経済

中国人の街「西川口」の変貌っぷりが凄すぎる

埼玉県 西川口×中国人|中国人激増の西川口をディープルポ

ビジネスジャーナル
西川口、チャイナタウン通り越し本物の中国化…定員も客も中国人のみの超レア料理店が密集

朝日新聞GLOBE+
芝園団地に住んでいます 記者が住民として見た、「静かな分断」と共生

そうだ埼玉.com
風俗街から中華街化する西川口

ニコニコニュース
日本に移民したいと願う中国人、その理由は「我が国を圧倒的に上回る・・・」=中国

 

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